その昔、地面に立てた棒が落とす影の位置で計っていた時間。
日時計から始まった時計の歴史は、その後精度や携帯性を追求し現在の形に至ったのだと思います。
日時計
太陽や水(重力)など自然の力を利用した時計に始まり、その後ゼンマイを搭載する機械式時計が誕生した事で携帯性は大幅に向上します。
ロンジンの手巻き式懐中時計
懐中時計から腕時計へと需要は変化していき、電池で動くクオーツ式時計が発明されると小型化・高精度化はさらに進みます。
クオーツ式時計は機械式時計とは比べ物にならない程の精度を実現しました。
時計の精度は日差から月差へ、そして年差時計が現れます。年に数秒しか誤差の出ない時計。日常使う時計としては十分過ぎる精度です。
しかしその数秒の誤差さえも生じさせない「電波時計」が誕生します。
精度への追求に関して言えば、電波時計の誕生でひとつの解決を見たのではないでしょうか。
シチズンのソーラー電波時計
電波時計は自動、又は手動で標準電波(セシウム原子時計の時間情報)を受信し、時刻を修正してくれる機能を有します。
時報を聞きながら時間合わせをしていた頃を考えると嘘のように便利な機能ですね。
ただ、電波時計とは言え正確な時間を表示する為には「電波を受信できる環境」にいれば、という条件が必要です。
電波の届かない場所やカバーされていない国や地域、また範囲内であっても地下や建物内など電波の届きづらい環境では受信ができない場合があります。※送信所を中心に半径約1000kmをカバーしているそうです。
モデルによっては時計本体が磁気にさらされたり衝撃を受ける事によって、基準位置(時計の初期設定)がずれてしまう事もあります。
基準位置がずれた状態だと、いくら電波を受信できても正しい時間を表示できない事になります。(ずれた基準位置の分、表示される時間に正しい時間とのズレが生じます)この場合は手動で設定の修正が必要です。※自動修正してくれるモデルもあります。
正確な時計と言えば、電波時計とは別にGPS時計も存在します。こちらはGPS衛星から信号を受信する事で正確な時間を表示できる時計です。
セイコーのGPS時計
電波時計との違いは、地上の基地局からの発信ではなくはるか上空を周回しているGPS衛星からの受信なので、地球上のどこにいてもカバーできる点です。また、精度に関しても電波時計を上回っているそうです。※ミリ秒とかナノ秒といった日常的には感じられない程度の差
受信できる国や地域に制限が無いというのは便利です。
海外に行った時などは位置情報を使用してワールドタイム設定も自動で行う事ができるので、海外に行く機会が多い人にはとても役立つ機能ですね。
しかしこちらも地下や建物内だと信号が届かず受信できない場合があります。
時間がずれた場合は空の見える場所などで受信を行わなければいけません。
※イメージ
もう一つ、一部のメーカーからはスマートフォン等のモバイル機器とBluetoothでリンクし、時間の修正やその他の機能を使える時計もあります。
モバイル機器がインターネット上から取得した時刻やカレンダー情報を受信する事で正確な時刻を表示できる時計です。
Bluetooth時計は地下や建物内でもスマートフォン等が近い距離にあればどこでも時刻修正が可能です。
しかし、スマートフォン等のモバイル機器が作動していない、距離が離れている等の場合はリンクできません。
※スマートウォッチと呼ばれる腕時計型のデバイス(ウエアラブル端末)もありますが、こちらはさらに様々な機能が搭載されています。
各時計の特徴
精度の追求は10万年に1秒程度の誤差というところまで進化しました。
後は受信の制限などを克服するくらいでしょうか。
腕時計は小型ゆえに壁掛け時計などと比べると受信機能に限界があり、環境により電波などを受信できない場合がありますが、今後小型でも高性能のアンテナが内蔵されるようになれば改善されていくと思います。
また、内蔵する電池も小型かつ大容量化が進むと思いますので、「省電力」を気にしないで高機能化できる事も考えられます。
日常生活の中でそこまでの精度が必要かどうかは別ですが、「新しい物」「新しい技術」というのはやはり人を惹きつけます。
「この時計は狂わない」「止まらない」と言われれば試してみたくなりますよね。
しかし時計に限らずですが、どんな物でも正しく使わないとその本来の便利さを享受できません。
その為にはきちんとした説明を受け、理解し、正しい使用方法を守る必要があります。
これからもさらに腕時計は進化していくはずです。
どこまで追いかける事ができるかわかりませんが、今後もとても楽しみです。
どんな便利な時計でも不具合を起こす事はあります。腕時計の事でお困りでしたらお気軽にご相談下さい。
特殊な時計に関しては対応できない場合がありますが、「どこに出せばいいか分からない」と言う場合は各メーカーでの修理をご紹介する事が可能です。
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